(第34号) 2005年6月23日
政策調査情報 連合北海道 政策道民運動局
■政策調査情報の内容;
政府税調「個人所得課税に関する論点整理」についての草野事務局長談話(6月22日)
 
政府税調「個人所得課税に関する論点整理」についての談話
1.政府税制調査会・基礎問題小委員会は6月21日、2006年度以降の税制改正に向けた主要な論点整理として、「個人所得課税に関する論点整理」を取りまとめ、政府税調総会に報告した。しかし、その内容は増税項目の羅列であり、勤労者をはじめ「取りやすいところから取る」姿勢の明確化である。経済や社会の格差が拡大しつつある現状を見れば、定率減税や各種控除の縮小・廃止よりも、所得税の最高税率および法人税率を引き下げている「恒久的減税」措置こそ見直すべきである。連合は、こうした安易な負担増を断固認めることはできない。
 
2.給与所得控除については、「給与所得者であることを理由とした特別の斟酌を行う必要性が乏しくなった」として見直しを打ち出しているが、依然として残る所得捕捉格差の是正なくして見直しはありえず、控除水準の切り下げは認められない。
 特に、近年のマクロ経済における労働分配率の低下、一方的な解雇や賃金・労働条件切り下げ、労働者の偽装請負化の横行など、労働環境は不安定さを増している。論点整理は、こうした実態を無視するものである。
 
3.人的控除のあり方については、配偶者控除や特定扶養控除の廃止も視野に入れた見直しを打ち出している。配偶者控除は、単なる廃止ではなく、扶養控除との統合による見直しをはかるべきである。特定扶養控除については、教育支出が増大する世帯に対する政策的配慮の裏付けがない中での廃止は、子育て支援の趣旨に反するものと言わざるを得ない。なお、人的控除については、所得控除方式を採ることによって、適用税率が高い層ほど減税効果が生じるため、原則として税額控除に振り替えるべきである。
 
4.所得税から住民税への税源移譲については、所得税と住民税の合計税率の調整には言及があるが、各種控除の調整には全く言及がない。このまま税源移譲が行われると、住民税の控除水準が所得税よりも低いため、税源移譲によって住民税の負担割合が増える層にとっては増税(負担割合が減る層にとっては減税)となる。税源移譲による増減税や不公平の発生は避けなければならない。政府は早急に対応策を示すべきである。
 
5.ここ数年の税制や社会保障制度の改定によって、家計負担が年々重くなっている。政府は、これ以上の増税が経済や社会構造に与える影響を十分に考慮しなければならない。まずは、歳出削減をはじめ納税者が納得できる財政構造の抜本的改革が先決である。
 政府税調では今秋以降、今回の論点整理にもとづき、次年度以降の税制改正案を検討することになる。連合は、一方的な政府の増税路線を阻止し、格差拡大に歯止めをかけ、不公平を是正する税制改革の実現をめざし、国民世論を巻き込んだ取り組みを強化する。
以上